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久しぶりにいい映画を見ることが出来たのでご紹介しておこう。

El Cantante

『El Cantante(エル・カンタンテ)』(2006年/アメリカ)

これは、サルサの黄金時代を築き、死後15年以上経った今なお“歌手の中の歌手”としてラテン音楽界に影響を与え続けているHector Lavoe(エクトル・ラボー)の壮絶な生涯が映画化されたもので、現代サルサの最高峰Marc AnthonyHector Lavoe役を、そしてその妻Puchi(プチ)役を実際の妻であるJennifer Lopezが演じている。(Jenniferはこの映画のプロデューサーをも担っている)

Jennifer  Mark
(上画像/MarcとJenniferは今や二児(双子)のパパとママ)

(下画像/晩年のHectorとPuchi本人)
Hector Y Puchi


サルサは、その明るいリズムとは裏腹にニューヨークに暮らすプエルトリカンらカリブ系移民の哀しみや望郷の念から生まれた音楽だが、そんなヒスパニックの哀しみを表現できる最高のアーティストこそHector Lavoeであった。

1946年カリブに浮かぶ島・プエルトリコのポンセという町に生まれたHectorは、音楽での成功を夢見て17歳で故郷を捨てニューヨークに上京。20歳の時、同じプエルトリカンであり17歳でアルバム・デビューを果たし瞬く間にNYサルサのヒーローに伸し上がった天才トロンボニストWillie Colon(ウィリー・コロン)と出会いコンビを組むことで、60年代後半のサルサムーブメントに乗って一挙にスターへの階段を駆け上がっていくのだが…。
栄枯盛衰。(よくNYのサクセスストーリーに登場するパターンではあるが)彼は眩いばかりの成功の裏でドラッグに溺れ、私生活は破滅の一途を辿って行くことになる。
その陰にはいつも妻Puchi(プチ)と無二の友Willie Colonの素晴らしい存在(支え)があったのだが、ドラッグだけでなくHIVにも蝕まれた彼の身体は二人の愛の甲斐もなく、1993年46歳という若さで終止符を打つこととなる。

彼の人生の終わりは、NYに住むヒスパニックにとって本当に辛いセンティミェント(ラテン語で「悲しみ」)であったことだろう。人々は彼のことを、「La Voz(声)」、そして「El Cantante(歌手)」と呼んだそうだ。

この映画は、正にサルサの如く、人の愛・夫婦・家族・友・人生・悲哀・死…といったものをしみじみと訴えかけ考えさせてくれる。

サルサ好きに興味がない方々にも十分に楽しんで頂けるだろうし、きっとサルサに興味を抱いて頂けるはず。
是非ヘッドフォンを着けて大音量でご覧頂きたいと思う。

因みに、Hector LavoeWillie Colonら15人以上で結成し、サルサ界だけでなく様々な方面に多大なる影響を与えた伝説のスーパー・オールスター・バンド=Fania All-Stars(下画像)のその名は余りにも偉大であり、あの「サザン・オールスターズ」も命名の基にしているそうだ。

fania-all-stars.jpg
(Fania All-Stars。写真右上が絶頂期のHectorだ。)




では最後に、映画のワンシーンよりHector Lavoeを演じるMarc Anthonyが歌う『El Cantante』、そして、ホンモノのHector Lavoe最後のコンサートで歌う『El Cantante』をよろしければご視聴あれ。





Adiós!

■El Cantante official web site

2010.03.17 


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